ロスアンゼルスの滞在中、地元紙に目を通していると、市を作るために住民たちが活動を行っている記事が出ていました。興味深い内容でしたのでご紹介します。
ロスアンゼルス郡(Los Angeles county)の東側に位置するロウランドハイツ(Rowland Heights)という非法人地域(Unincorporated Area)があり、その地域の住民が市(City)を設立するために、住民の有志が住民投票の為の署名活動を行っているという概要でした。
補足説明をします。アメリカ合衆国(United States of America)には、50の州(States)が存在します。日本では、政府と県との関係をあてはめ州を県のようにみなす場合もありますが、「state」には「国家」という訳語も存在するように、国としての性質も多く兼ね備えています。
一部の州を除いて、州の下には郡(County)があり、州内の全ての地域は基本的にどれかの郡に属しています。そして、郡の下にはいわゆる日本で言う市町村(City、Townなど)が存在します。しかし、郡以下の全ての地域が、市町村に所属しているわけではなく、郡の直轄の地域があり、これを未法人地域(Unincorporated Area)とし、既に法人化されている市町村のある地域(Incorporated Area)と区別します。
【米国】 【日本】
州 国
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郡 県
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市町村 未法人地域 市町村
このように、州を国家と考えると、日本の都道府県はむしろ郡と見なせます。また、日本の場合、全ての地域がいずれかの市町村に属していますが、米国ではそうではないということが大きな違いです。
市町村に属していなくても、日常の公共サービスは郡によって行われます。ただし、郡は概して広く、虫食い上に市町村が存在するため、より自分達の考えで地域を運営していこうとすると、市町村を作る必要性が出てきます。
つまり、米国では市町村のような基礎自治体は「当たり前にある存在」ではなくて、「自分達で創造する存在」であるということです。