4.誰の為の老後保障か
制度の趣旨を改めて考える
第三の制度廃止理由は、制度目的の形骸化である。地方議会議員年金制度の目的は、議員及びその遺族の生活の安定に資すること、つまり、議員の老後保障である。しかし、この制度には老後保障としての大きな瑕疵があることは何度も触れてきた。12年以上という在職期間要件を満たさない者にとって、退職一時金は受け取れるが、その期間の議員としての老後保障は欠落することになるからである。そして、要件を満たさずに退職年金を受け取れない者の割合は半数近くに上る。このように多くの者が老後保障を受けられない年金制度が、議員及びその遺族の生活の安定に資する制度とは言えない。むしろ、選挙という不確定な条件に老後保障を委ねる同制度は、その趣旨とは逆に議員の不安を増幅させている。
8年間頑張っても無年金
同制度が如何に議員の老後保障として矛盾しているかを改めて考えたい。例えば、2期8年間全身全霊を尽くして議員活動にあたった者が、不本意ながら3期目の選挙に落選したり、或いは自らの意思で勇退したりした場合を想定してほしい。現行の制度下では、8年分の議員の職責にかかる老後保障を受けられないばかりか、掛金の半額程度しか退職一時金として受け取ることができない。
このような制度が本当に「地方議会議員が在職中に安心して議員活動に専念できる」制度と言えるだろうか。現行の制度は、3期12年以上地方議員を務めた一部の議員のために、多くの地方議員経験者と国民に負担を強いる制度となっている。
