●土木事務所の調査
約2ヵ月間かけて、県内の土木事務所を全て回りました。その地域毎の課題個所を視察しました。建設常任委員会に所属したため、現地を知らずして委員会審議に臨むことはできないためです。
神奈川県は、小さい県土ながらも、海山川、都市、砂防、急傾斜等、土木に関わる事例がほぼ全てあり、日本の縮図のような地域です。各土木事務所で所長以下職員の方々に熱心に対応して頂いたため、私の持っていた疑問は解消され、様々な問題意識を頂きました。
●悪なコンクリートもあるけれど
視察地を車で移動する中で、所長や事務所職員の方々から県土木の昔話を聞く機会に多く恵まれました。土木事務所の所長や幹部職員は技術職の方が任命されるため、事務職とは違い、ずっと土木畑で働いてきた専門家です。しかも、年代的には高度経済成長期の最も日本が成長した時期に、現場で土木に関わってきた世代でもあります。現在の神奈川を形作ってきた人たちと言っても過言ではないかもしれません。
お話をお伺いしていて感じたのは、皆さん体を張って、時には命をかけて県民の為に頑張ってきたということです。今でこそ、県内の多くの危険地域は整備され、生活インフラも当然のように存在しますが、これらは、彼らも含めた先代の努力による部分がほとんどです。
しかし、公共事業があまりにも悪く言われ過ぎるために、この過去の偉業に対する住民の感謝の気持ちも薄れてきていると感じます。確かに、近年の公共工事の中には、必要性も低く、非難されるべきものも多いと思います。この点は正していかなければなりません。一方で、私たちが現在安全に暮らしていけるのは、過去の公共事業のお陰であるのもまた事実です。このような過去の実績については、しっかりと感謝をすることも大切だと思います。