第236回県政スクエアを開催しました。
今回は、NPO法人ラウレアの副理事長、遊びリパークリノアの責任者でもある、作業療法士の大郷和成さんをゲストスピーカーにお迎えし、「地域に根ざした障害児の支援と挑戦」について、お話をして頂きました。

「地域福祉の増進」をモットーに以下の3つの理念を掲げています。
・「共助」共に助け合って嬉しい時も苦しい時も分かち合う関係性の築いていく
・「わくわく」お互いが“わくわく”し合えるような環境を創っていく
・「学びの継続」自分を高め、それを地域の中で表現していく
地域住民が抱いていた様々なニーズがその背景にあります。
・肢体不自由児が活動できる場所が少ない・・
・リハビリを受けられる場、機会の少なさ・・
・医療的ケア等により活動参加への不自由さ・・
・社会体験を積む場、機会の少なさ・・
・「生きていく力」を身につけて欲しい・・
・「障がい」について、地域の人にもっと知って欲しいという親御さんの想い・・

放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づく障害児通所支援事業所であり、学校通学中の障害のある児童が通う「障害児童の学童保育」と呼ばれています。学校教育・保護者・医療機関と協力して子供たちの自立を促すとともに、放課後の療育・居場所づくりを行なっています。
近年、急激にその数を増やしており、横浜市、川崎市、相模原市及び横須賀市を除く神奈川県域では、平成24年から平成28年までに、120事業所から505事業所に急増しています。
しかし、リノアのように常勤の専門職を置くデイサービスは少なく、藤沢市で作業療法士を置く事業者は38箇所中1ヶ所だそうです。
つまり、「障害がある子供たち、特に肢体不自由児と医療が必要な子どもたちの居場所が足りていない」との問題提起を大郷さんはされています。
リノアが取り組む様々な地域における実践は非常に有意義な取り組みであると感じました。全ては紹介しきれませんが、お泊まり会を開催したり、リノアで行うコンサートのチラシは子供達が一緒に配布したり、施設を解放した様々なイベントを通じて交流を行ったりといった取り組みを紹介されていました。
私が印象に残ったのは次の言葉。
「『出来ない』理由は、裏返せば『出来る』理由」
ここにリノアの活動は集約されています。子供達が人生の選択をできるために何ができるかということを大郷さんも専門職として取り組んでいます。
また、「経験寿命」という概念も興味深かったです。生まれつき五体不満足な障害児にとって、「健康寿命」という概念は当てはまらないけれど、社会体験を積む場や「生きていく力」を身につける場を提供することで生きる意義を見出しています。
参加者からも活発な質問や意見が飛び出し、非常に有意義な集まりとなりました。
千里の道も一歩から
菅原直敏