神奈川県議会

10月3日厚生常任委員会〜地域包括ケアシステムについて他

  • 10月3日厚生常任委員会〜地域包括ケアシステムについて他

菅原委員:地域包括ケアシステムに関わってくるテーマ設定で質疑をさせていただきます。

 この地域包括ケアシステムについて、実は自分自身が介護福祉の仕事に関わるまで、あまりよく分からなくて、でも、世の中の人たちは皆さん口をついて地域包括ケアシステムは非常に大切だと、今後も重要だと言われる。これは、私はそういった世界にいないから分からないのかなと思い、自分で実際介護の現場に入ってもう五、六年ですが、やっていても何かやはりぴんと来ない。それでは分からないのは、自分の経験が足らないのかなということかなと思い、今度は福祉の国家資格も取ってみようと全ての国家資格を取ってみました。でも、まだぴんと来ない。それでは大学で研究してみようかなと思い大学で研究してみても、ぴんと来ない。だけど、世の中の人たちは口をついて地域包括ケアシステムは必要だというふうにおっしゃられるのです。

 地域包括ケアシステムというものを検索して最初に出てくるのは、地域包括ケアシステムとは分かりやすく、みたいな話なのです。これを実際に分かっている人はいるのだろうかという率直な疑問がある中で、正にこの検索ワードにあるとおり、地域包括ケアシステムについて、分かりやすく端的に御説明を頂きたい。

高齢福祉課長:地域包括ケアシステムとは、端的に言うのはなかなか難しいところでございますので、私どもが常に言っております言葉で申し上げますと、地域の実情に応じて高齢者の方々が可能な限り御自分の住み慣れた地域で、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的継続的に提供される体制ということと見ております。

 なお、このシステムは団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、日常生活圏域ごとに地域包括支援センターを中心に、地域の実践や主体性に基づき、特性に応じてつくり上げていくものだとされております。

菅原委員:何か、地域とか包括とかケアとか、すごく出てくる言葉をくっつけて、何となく、私もその話を聞くと、漠然とこういうものだなというイメージできるが、なぜ私が理解できないのかなと、現場に入って思ったのですが、実際には地域包括ケアシステムなるものが稼働している現場が、私の知る限りないのです。実際こういった現場は、例えば神奈川県下において、何かいい事例があったりするのですか。

高齢福祉課長:私どもといたしましては、各市町村において地域包括ケアシステムは何とか頑張っているところだと認識しております。地域包括センターの数といたしましても、数的には何とか今整備はされているところでございますので、今のところ、内容の充実というところが全体的には求められているというところだと思います。

福祉部長:うまくいっている事例というような御質問だったと思います。

 例えば横須賀市では、医療者と介護の事業者が一緒になって地域をつくり上げていこうという中で、各地域、西部ですとか東部ですとか南部ですとか、各病院を中心に、そこの周りに在宅医療を提供するような診療所があり、そこに介護の事業者がしっかりと入り込んで連携し、例えば病気になって入院したら、入院時から両方が関わって、その人をしっかりと地域で支えていこうというような体制をつくるとか、そんなような取組の中でうまく進めようという事例は承知しております。

菅原委員:福祉部長は答えましたが、高齢福祉課長は地域包括支援センターの数と問題をすりかえていましたが、すごく思うのは、おそらくあまりないのですね。なぜかと言えば、皆も何かさくっとそんな感じだよねと思いながらも、ここは日本人のよくないところでもあるのですが、やはり決めてもらわないとなかなかできない。でも、多分これの良さは、決めないところにもう良さがあるのだろうが、決めないからこそ、何だかよく分からない。だけど、何となく、先ほどのSDGsの話ではないですが、何か良いことじゃないかと。だから、どこに行ってもとりあえず進めようと言うけれど、実体は存在しないというのが、地域包括ケアシステムなのかなと。だから、何か私もいま一つ実感ができない、現場の人たちもそう思っている。

 今のお話の中で、地域包括支援センターのお話がありました。恐らく国は、地域包括支援センターがあるから地域包括ケアシステム成り立っているというのは別個の議論だと思うのだが、ただ、その拠点的な機能の一つとして、地域包括支援センターを据えているというのは事実だと思うのです。ただ、一方で地域包括支援センターは私も現場で関わっていて思いますが、多くの課題を抱えていると思うのです。そこで地域包括支援センターとは何かということを端的に御説明いただいた上で、今その包括支援センターが抱えている一般的な課題として何が上げられるのかお答えください。

高齢福祉課長:地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの中核機関として、高齢者の生活を総合的に支えるために、まず、介護予防事業のマネジメント、介護保険外のサービスを含む高齢者等に対する総合的な相談・支援、高齢者等に対する権利擁護、支援困難ケースへの対応など介護支援専門員への支援、こうした四つの事業に加えまして、住まいの確保に関する支援や、見守り等の生活支援を地域において一体的に実施する役割を担っております。

 地域包括支援センターの課題というところでございますが、国が平成27年度に行った調査におきましては、8割のセンターで業務量が過大であると考えており、その内容としては、総合相談支援に関わる業務や、あと指定介護予防支援に関わる業務が上げられております。また、センターの半数が、職員の力量不足を課題に上げております。本県においても、同様であると考えております。

 また、職員配置上の課題でございますが、地域包括支援センターには、原則として保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種を配置することとされておりますが、3職種の確保が困難である場合は、これらに準ずる者ということで配置することができるとされておりますが、この準ずる者が占める割合というものが、平成30年4月末時点で、県内の地域包括支援センターでは、社会福祉士が2.5%、主任介護支援専門員が1.6%と少なくなってはおりますが、こちらのほうは何とか確保はできているところですが、保健師については、この約6割がこの準ずる者ということでなっておりますので、保健師の確保が課題となっております。

菅原委員:今の制度の形でいうと、地域包括ケアシステムの中核機関である地域包括支援センターというものがあり、けれども、それが質と量の面において、機能しづらい状況があるということが、調査の段階で明らかになっているわけです。ということは、ますますこの包括ケアシステムというものが、実際は機能しない前提になっているわけです。

 やはり、地域包括支援センターは皆さん便利屋だと思っていて、何でもそこに丸投げするのですが、先ほど聞いた要支援の予防のプランを立てる業務だけでも、本当は足りないのです。こんなことは普通に介護の現場にいればすごく分かるのだが、皆さんそういうところを理解しないから、どんどんいろいろなものを付けていき、あれもこれもとやっていき、大体こういうのは地元の大きな社会福祉法人とかが受けているのですが、基本は受けたくない業務です。これは市が直接できるのだが、市も直接やらないのは、できないと分かっているから投げるわけで、すごい問題があります。

 それは業務量の問題がまず一つと、あとは限られた予算しかやってこないから人員の問題、そして、人員のその質の問題、先ほど力量が不足していると伺ったが、それは、すなわち3職種の資格職の中で特に保健師という、一番地域の保健福祉に関わってくるところが、充足率が足りていなくてみなしになっているということは、もうそもそも機能していないという問題があるわけです。だから、ここをどのように考えているのかなと思うのです。今の状態は良いわけはないのだが、だからといって、どう対応していくべきなのか、あるいは、やはり対応できないものなのか、そこについての見解をお伺いします。

高齢福祉課長:人材確保につきましては、特に保健師はなかなか確保が難しいということで、それぞれの市町村の運営協議会においても、課題となっているところでございますが、これといった解決策というところが、まだないような状況でございまして、とりあえず準ずる者ということで、看護師とかの対応になっているところでございます。

菅原委員:今解決できないということは、これから人口は減っていくわけで、さらに働く人は減っていくわけだから、絶対解決できないということなのです。でも、絶対解決できないものに対して、地域包括ケアシステムは必要だといって、進めていきましょうということだけお題目で言っていくというところで、すごい自己矛盾だと思うのです。私は、地域包括支援センター自体が、その中心であるとは思わないのですが、やはりそこは、先ほどのSDGsのバックキャストの話じゃないですが、バックキャストして考える必要って、やはりあると思いますよね。なので、そこはすごく大切なところだと思います。

 ただ、一方で地域包括支援センターは確かに嫌われ業務で、受けている法人からしてみると、受けてやっているという部分がやはりあったりするし、市町村としても、受けていただいているという感覚がある。これを私は現場にいて感じます。ただ、一方で私は介護の現場にいてすごく感じたのは、介護の現場は結構序列社会だと。どういう序列かというと、市町村というオーソライズされた公的機関があって、その下に地域包括支援センターという組織があり、大体ここは地域の大きな社会福祉法人が受けているわけです。その周りに今度は居宅介護支援事業所みたいなケアマネジャーのセンターがあって、さらに中小の零細な介護事業所があり、お客様を取るために、そこにお願い上がっていくという序列関係が実際できていたりして、私はそこに問題意識を感じたのです。ちなみにデータ的なところですが、この地域包括支援センターのほとんどが委託に出していると思うのですが、県内で受託されている内訳はどういうふうになっているのですか。

高齢福祉課長:地域包括支援センターの事業主体といたしましては、今委員がおっしゃったとおり、社会福祉法人等への委託も可能となっております。平成30年7月1日現在で、県内の地域包括支援センターは365カ所ございます。そのうち市町村の直営は10箇所、残り355箇所は委託となっております。この委託先の内訳といたしましては、市町村社会福祉協議会が38箇所、社会福祉協議会を除く社会福祉法人、いわゆる特養等なのですが、こちらが269箇所、あと医療法人が31箇所、あと郡市医師会等の一般社団法人が2箇所で、そのほか財団法人等となっております。

菅原委員:先ほども多少触れたのですが、そういった中で特養とかやっている社会福祉法人は、大体デイサービスもそのショートステイとかやっているので介護事業者なのです。ただ、一方で地域包括支援センターを受けることによって、その地域ではあたかも何か公の機関になったようなみなし方を地域ではされるわけです。そのこと自体は悪くないと思うのですが、それは今の介護保険というのは、措置からサービスに変わって、ビジネス的な市場経済でやっているわけです。それがイコールフッティングできているのかというところで、実は結構大きな現場からの声で聞くのは、地域包括支援センターの全てじゃないが、運用の仕方が不透明なところが結構あるという御意見は頂きます。

 例えば、みんながこうと飛び込んでいったときに、じゃ、どのケアマネジャーにするのかというのを振っているのが、その地域の地域包括支援センターだったりするわけです。それでは何でそこのケアマネジャーになったのかというのが不透明になってくると、みんなそこにお願いに行って、少しでも気に入られたくて、その仕事をもらおうというインセンティブになるのは、制度的に当然なことだと思うのです。これは、私はあってはならないことだと思うのですが、こういった問題というのは把握されていますか。

高齢福祉課長:優先的な立場を活用して受託法人の利益を図る行為につきまして、以前新聞とかでも取り上げられたりとかしたことは承知しております。また、県では、県全体の地域包括ケア会議を開催しておりますので、その構成員として、地域包括支援センター関係者をはじめ介護支援専門員協会、訪問看護ステーション協議会、介護福祉士会の代表者も加わって、地域包括支援センターの運営状況についても、情報共有をしているところです。

 会議の中で、こうした話は直接出てきてはおりませんが、以前幾つかの市町村で、介護予防ケアプランの作成委託先に偏りがあるとか、介護が必要な高齢者の囲い込みがあるなどの御意見があったということは聞いており、県としてもこうした問題は課題として認識しているところでございます。

菅原委員:それは連絡会みたいなところでは言わないし、言えないです。言った瞬間に、自分たちは仕事がなくなる、そういうものなのです。だから、私はあえて言います。そういうことは全てとは言いませんが、やはりあるのです。でも、そういうことはあってはいけない。なぜあってはいけないかと言うと、別にその介護事業所と包括の関係でどうこうと言っているのではなく、一番不利益をこうむっているのは、利用される方なのです。本来利用者にとってみれば、ここのケアマネジャーの事業所、あるいはここの事業者が良いというものがあるにも関わらず、私はこの世界でいろいろなものを見てきたのだが、それを自分の事業所に誘導するケアマネジャーとか、包括というものが、こんなにもあるのだということに驚きました。

 これは、情報の非対称性があるからそうなるわけですね。知らないと思いそういうことを平気でやる人たちが、統計がないので私は少なからずと言っておきますが、あるということで。これを今は把握しているわけですから、事業者から声が上がるということを待つのではなくて、やはりそういうところこそ県が指導的な立場で、そういうことが起こらないためにはどういう仕組みにしていくのかということを、もちろんその当事者自治体である市町村もそれは考えていくのが第一義ですが、考えていくということは大切かなということは指摘をしておきます。

 そうは言っても地域包括支援センターの皆さんは頑張っていると思うのです。だから、難しいのです。こんなに面倒な業務を受けているのだから、それぐらいいいじゃないかみたいなのも分からないでもないが、すごく難しさがあります。だから、そういうところの何か悩ましいところがあったりするのですが、そこはそうしなきゃいけないということです。先ほどの保健師が足りないとかいうことは解決が難しいけれど、じゃ、現場の運用部分で変えていける部分がないかというところを考えていけばいいと思うのです。

その中で、私も仕事柄、医師の方とたくさんお会いして話すのですが、医師の方はすごく優秀だが、日本の医師の特徴として、みんなスペシャリティを持った専門医の方が結構多いです。いわゆる総合診療医みたいなジェネラリストみたいなお医者が非常に少ない。ただ、この地域包括ケアシステムという概念においては、スペシャリストよりもジェネラリストの医師が活躍する機会のほうが多いというのが現場での実感だし、医師の方たちも言っているのです。そういった中で、神奈川県として総合診療医というものをどのように考えているのかお伺いします。

医療課長:今、御質問のありました総合診療医の関係でございますが、委員おっしゃいましたとおり、比較的日本の医師は、専門性である内科とか外科とかに行かれる傾向にあるということを承知しておりまして、この中で改めて総合的に診られる医師というのが必要なんじゃないかという議論は進んできました。

 昨年度から、いわゆる専門医制度というのが新しく始まったのですが、その中で、基本的な治療が内科とか外科とかの中に、初めて総合診療科というのが加わったところであります。つまり、総合的にジェネラリストとなる医師を育てようという流れができています。ただ、課題として、今現在総合診療医の人が、総合診療医として育ってきたかというと、そんなことはないわけでございます。何かで育ってくる中で、私は総合診療医になろうと途中で決められました。こういった中で、若い卵を総合診療医に育ててくカリキュラム、いわゆるどう育てていくのかという課題はございます。

 ただ、それらを踏まえて、私ども県といたしましても、総合診療医は地域包括ケアだけじゃなくて、病院とかでも今ポータルを見る医師として必要なのですが、そういった総合診療医をどう卵から育てていくか。今学生に就学資金とか出していますが、そういったものも見直しも含めて、総合診療医となるいわゆる卵となる医師をどう育てていこうか。正に医師会等々含めて、検討しているところという段階でございます。

菅原委員:これに一番いいのはもうかる仕事にすることではないですか。インセンティブ設計を働かせるということ。でも、私を指導してくれた教授は、これから総合診療医はいけるっていうふうに話はしていました。

 そういうまずインセンティブ設計も必要だし、もう一つは、今、長崎大学ではすごくそういう授業をやっているのですが、共修、共に修めるということで、地域の福祉系の大学の人たちとも1、2年の段階から地域の事例、ケーススタディーというのを看護だとか、福祉、将来多分介護福祉士とか社会福祉士になる子たちだとか、医師の卵は、みんなこうやっていくのです。

 私が驚いたのは、何か大和市医師会の先生と話しても、全然私は介護のことは分からないよと言う人はやはり多いのです。それは仕方がない、世代が違うのだから。でも、一方で、何かそこの医師の卵の人たちは、何か平気でグループホームは何とか、デイサービスは何とかというふうに医師の卵は言っている。それは新鮮だなって、そういうところから、そういう発想を持てるって、その後、別に多分スペシャリティを持つ人になったとしても、その経験って生きると思うのです。だから、神奈川にも保健福祉大学、横浜市立大学、東海大学、北里大学とか幾つかあるが、何かそういう取組ができるといいのかなというのは、何か私は常々思っていますが、それはそれとして、そういう大学もありますということで、御紹介をしておきます。

 総合診療医の話は分かりましたが、そうは言っても医者の絶対数が少ないから厳しいです。看護師もそうだが、コメディカルみたいな人たちは結構今飽和状態です。特にPT、OT、ST、つまり理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方たちは、かなり医療職にコミットしながら専門性を持っているのだが、一方で法律的な縛りからなかなか動きがとりづらいというところもある。

 先ほどの質問の中で医療的ケア児の話が続きましたが、胃ろうやかくたん吸引は私もできます。介護福祉士の資格を持って研修を受けているからできるのだが、それはある一定の条件下という制限つきなのです。そこで困っている医療的ケアが必要な子供がいたときに、その条件にそぐわなければ、私はできる能力を持っている、歩いてはあるのだが、スキルはあるが、その人に対してそのケアができない。つまり、その権限がないという状況は現場では結構起こっているわけです。その一つがリハビリテーション職種の人たちなのですが、この現状はどのように把握されていますか。

医療課長:このリハビリテーションに関わる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、いわゆるリハビリテーション3職種と言うのですが、こちらの方々の状況として、まず数としては非常に増えてきているというのは承知しております。それから、今委員おっしゃいました、いわゆる仕事の医療行為と言われるところ、正におっしゃいましたように、かくたん吸引もそうなのですが、まず、例えば理学療法士の例をとりますと、理学療法士がやっていい医療行為というのはあるのですが、当然医師の指示の下というのがありますし、いろんな条件が確かにございます。おっしゃられたその裁量のところでいうと、それがどうにか外せないかという観点が一つ。もう一つは、例えば今まで医者しかできなかったことを看護師ができるようにするとか、看護師しかできなかったことが、例えば理学療法士ができるようにする、仕事おろせないかという観点が二つございます。これは、どちらも重要な観点だと思いまして、委員おっしゃったように、人がそんなに爆発的には増えない中で、医師、看護師が非常に重要なことだと思っておりますし、これは、県内の医療連携の検討の中でも、関係団体などとどういうことが必要なのかという意見交換をしているところでございます。

 ただ、これを進めていく中で課題は三つございます。一つは、それではできたとして、その質をどう担保するのか、質ですね。二つ目が、万が一事故とかトラブルが起こったときに、どういうバックアップ体制をとって、どう責任をとっていくのか。これが二つ目。それから三つ目として、仮にできる人ができたとして、その通常よりも例えば私は医療行為ができる理学療法士ですとなったときに、ここの処遇ですとか、経営面の中で、じゃ、そういう理学療法士をどう扱っていくのかといったところを全体の社会システムとしてつくっていく、考えていく必要があると思っていまして、これはもちろん県もそうですが、国全体としても考えていく課題であると考えているところでございます。

菅原委員:今の課題の御指摘と御説明はすごく分かりやすかったです。まず、裁量の問題で権限を持ってくるというのは、やはり既得権との戦いになるとなかなか難しいです。ただ、今のリハビリテーション職種ではできるはずなのです。裁量をどこまで広げるかという話なので、これは積極的にやってもいいと思うし、多分このことによって、看護師の仕事がなくなるとかというのはないのです。そもそも医師がそんな仕事はやらない。だから、そういう意味では、前向きにやっていけばいいし、今言った懸念の点というのは、別に看護師でも質の低い看護師はいます。だから、そういう人はやらないだろうし、それだけの話だし、経営面の話は経営者が考える話で、私たちが民間の話に手を突っ込むところでもないし。前の保健師が足りないというレベルの話に比べたらクリアできる話なので、それはもっとスピード感を持ってやってほしい。それはもう待ったなしです。多分そんな予算を付けるとかそういう話じゃないので、本当にもう皆さんのやり方次第だと思います。それを国任せじゃいけないと思うのです。逆に県てそういうところを進めているわけですから、むしろ神奈川県からそういうところをやっていくところは必要かなという具体まで指摘したのでお願いします。

 最後に地域包括ケアシステムとデジタル化の関係なのですが、介護の仕事をやっていて驚いたのですが、介護の仕事で皆さん忙しいのはなぜと思ったら、現場のケアというよりも、何かお役所との対応だとか、横の医療機関とか、ケアマネジャーとかの対応に忙殺されているのです。こればかり多く、このシステムを何とかしてほしいって、いつも思います。すぐいろいろなものをこうしてくださいって、県は安全に安全にと言うのは分かるのですが、本当にそこまでしゃく子定規にやる必要があるのかというのがたくさんあります。だから、まずそういう制度本当に必要なのかっていうことも、県で裁量のできるところは一個一個考えていって、減らせるところは減らしていってほしいとまずお願いしておきます。

 その上で、やはり私が一番驚いたのは、医療現場ではファクスがかなり現役で頑張っているのです。これはすごいなと思い、ファクスで来て、さらに電話でファクス送りましたよと電話をしてくるのです。これ、何のためにやっているのだろうって。そういう一個一個を解決すれば、仕事が減ると誰もが思っているのですが、誰も変えられない。何か、どこにそういう圧力があるのか分からないのですが。こういった介護現場の現状について、デジタル化についての御見解をお伺いしたい。

介護サービス担当課長:介護現場における、そういったデジタル化、オフィス化の状況でございますが、まず県と事業所の間で最もやり取りが多いのが、どうしても介護報酬の請求のところで、なかなかまだ小さな法人事業者ですと、いまだに手書きのものでやり取りされているところもまだ実際にはございます。そういったところでは、やはりまだ紙ベースでどうしてもやらざるを得ないということと、どうしても急ぎで加算の状況を確認しなければいけないといったところになると、どうしてもファクスでやり取りをせざるを得ないといったところございますが、委員の御指摘も踏まえ、そういったところを極力削減できるようなことで考えていきたいと思っております。

菅原委員:急ぎの場合、メールとかLINEでとか、この委員会でもLINEがはやっていますが、LINEはできないですか。何か急ぎの場合もファクスを送る展開が分からないとここで文句を言っても仕方がないのですが。

 最後に、そういうのも含めて思ったのですが、介護保険制度は、できたばかりのときは、かなり先進的な制度だったのです。実は、初めて保険請求も電話線を使ってやり、医療保険もアナログだったので、それも使った話なので、それも20年前の話で、今となっては、全然時代に追いついていないところがある。これは国とかの問題なのかもしれないのですが、最後にお伺いしたいのは、やはり医療とか福祉介護のプラットホームです。全てのものがこういうクラウドに存在して、いろいろな人が適切な情報なのでアクセスするという状況をつくっていくことが、私はこれこそが正に必要なことではないかなと思うのですが、この点についての御見解をお伺いします。

医療課長:委員おっしゃいましたとおり、情報化が進む中で、先ほどの情報の共有化も含めて、電子化、プラットホーム化というのは非常に重要だと考えています。今国でも、地域でも局所的には患者や介護者の情報をLINEとかクラウドに上げて、皆で見るということはやっているのですが、それが各地域でばらばらになっているという状況でございます。国もこれらを解消するために、その患者情報などを共有するには、こういうつくり方をしましょうというガイドラインをつくり、今まではいわゆるベンダーと言われる業者ごとにシステムが違い全然互換性がなかったのですが、これを何とか互換性が出るようにしようという動きを進めております。

 この中で、こちらとしてもその動きに沿いながら、患者情報の共有化等の取組は進めておりますが、この情報プラットホームといいますか、ICTを活用したプラットホームが進むよう、県としても施策を進めていきたいと、このように考えております。

菅原委員:実はずっと質問してきて、ただ問題を指摘したわけじゃなく、やはり解決策も提示をしてきて、先ほどの保健師等の量、質の問題、やはり土台無理なのです。マンパワーとかお金だけで解決はやはり無理です。でも無理と言っていてもいけないから、先ほど言ったように、運用の部分でまず変えていくという部分で、それでは、例えばこの制度の仕様を変えていくという部分がまず私の一つの提案です。

 それと、もう一つは、やはりどう考えてもテクノロジーの話です。今の医療課長からはすごくいい御指摘だったと思うのです。それぞれがみんな違うベンダーを使っている。状況はすごく難しいと思うのです。でも、これができたら、介護医療現場の人たちが、皆さんから賞賛されると思うのですが、やはりこれを何としてでもやらないといけない。やることによって、そういった未病カルテをビッグデータに活用することによって、初めてそれで制度が生きてくるという、そういうトータルなビジョンを持ち、SDGsじゃないが、そこからバックキャストして何をすればいいのかということを考えると、現場で与える医療とか介護に関わる人たちも、いろんな人たちも、そして皆さんも、そして何よりも県民の皆さんも、皆さんハッピーになれるのではないかと御指摘、御提案を申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。

 

  • 録画中継 4:26:25から菅原直敏の質疑

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