
いつものことですが、厳しい県財政の健全化を理由に知事・議員・職員など関係者各位の給与・報酬引き上げの議案に反対しました。
誤解なきよう申し上げますと、私は選挙の時に「身を切る改革」ということを声高に訴えている議員ではありません(みんなの党で国政に出馬をした時でさえ、その主張とは一線を画し、他の政策を強く訴えました)。また、今期で県議会議員は引退しますので、選挙目当てでパフォーマンスする動機付けも一切ありません。
むしろ、財政が健全であれば、当然頑張っている職員の皆さんの給与は引き上げても良いと考えています(知事と議員は別)。
ただ、少なくとも平成27年からは上げることができる財政状況にはないと考えています。今回は良い機会なので、過去4年間、なぜ賛成してこなかったのかについても合わせて触れました。
また、今回討論に立った理由は、やはり新型コロナウィルスによる厳しい県内の状況です。
知事・職員、私たち議員が、給与・報酬が上がらなかったらといって路頭に迷うことはありません。でも、少なくない県民は明日どうなるかもわからない状況におかれています。
県民に寄り添う姿勢を率先して示すべきであると考えました。
●令和2年2月23日本会議菅原直敏反対討論の内容は以下
大志会・菅原直敏です。定県第163号議案から定県第166号議案に対し、反対する立場から討論を行います。
まずは、定県第163号議案「知事及び副知事の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」についてです。
「令和2年度予算は、実質的には当該年度中の歳入で歳出を賄えず、財政調整基金などの臨時的な財政でようやく終始を均衡させることができたものであり、本県財政は例年以上に大変厳しい状況となっています」、これは令和2年第1回県議会定例会知事提案説明の内容です。
続いて4年前です。「平成28年度予算での対応だけでは財源不足を解消することができず、企業収益の拡大や徴収努力などによる県税の増収、また不用県有財産の積極的な売却などにより27年度に生じた財源を活用して、ようやく収支を均衡させたところです。このように、実質的には、当該年度中の歳入で歳出を賄えていない綱渡りの財政運営が続いています。」これは平成28年第1回県議会定例会における知事提案説明の内容です。この後も、現在に到るまで同種の提案説明が知事よりなされてきました。
知事の今までの説明によると、当該年度中の歳入で歳出を賄えない状況が何年も続いており、状況は年々悪化しています。したがって、知事の給与総額を引き上げる積極的な理由がありません。今は、自らの給与引き上げの提案よりも、財政の健全化に集中する時であると考えます。
次に、定県第164号議案「県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する一部を改正する条例」についてです。
先ほどと同じ理由から、議員の報酬総額を積極的に引き上げる理由もありません。
最後に、定県第165号議案「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」及び定県第166号議案「学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
日々、県政運営および教育の現場で頑張っている職員の皆様のご努力には感謝を申し上げます。しかし、厳しい財政状況でもありますので、県民の皆さんと一緒に痛みを分かち合って頂けたらと思います。
さて、以上が私が平成27年の改選以来、同種の条例改正案に私が基本的に反対し続けている理由ですが、今回はもう一つ大きな理由があります。それは、新型コロナウィルスの世界的大流行に端を発した本県・日本及び世界経済の大きな落ち込みによって、県民生活への影響が深刻になっていることです。
2月12日、本会議初日の時点で、24,000円近くあった日経平均株価は一ヶ月強で16,000円前後にまで落ち込みました。これほど短期間で、30%近く株価が下落することは、国難と言われた東日本大震災を大きく上回り、2008年、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営破綻に端を発する金融危機に勝るとも劣らない状況にあります。
実際、米国、欧州を始めとする世界各国も2008年の金融危機を大きく上回る財政出動を表明するなど、その危機感は相当大きいものがあります。もちろん、日本も例外ではありません。
今回が2008年当時と大きく異なるのは、実体経済の急激な悪化から、私たちの生活が様々な面で大きな影響を受けている点です。わかりやすいところでは、外出の自粛、イベントの中止、それに伴う飲食や旅行産業の大幅な客離れなどが挙げられます。一時はトイレットペーパーなどの生活必需品が全国的に店頭からなくなるという、1973年のオイルショック以来の混乱も見られました。
今後のコロナウィルスの流行状況や世界経済の動向次第では、より厳しい状況も想定されます。現時点でも本県は「実質的には当該年度中の歳入で歳出を賄えない」状況を何年も継続しています。今後、本県財政が非常に厳しくなることは確実に予測されます。
このような現状において、関係各位の給与・報酬の総額を引き上げることは一旦脇において、厳しい現状にある県民に寄り添い、そして健全な財政運営に務めることが大切であると私は考えます。
なお、かつて本県では、知事も議会も、財政危機や大きな震災が発災した際に、自らの給与や報酬等を引き下げることで、県民と痛みを分かち合い、財政健全化の取り組みを率先してきました。
給与や報酬を引き下げることにはさらなる議論が必要であると考えます。しかし、少なくとも県民生活や県経済に大きな影響が発生し、本県財政がさらに厳しくなることもほぼ確実なことから、積極的に給与・報酬の総額を引き上げる理由は見当たりません。
以上の理由から、定県第163議案から定県166号議案に対し反対します。
ご清聴ありがとうございました。
神奈川県議会議員
菅原直敏