神奈川県議会

2021年3月25日本会議討論

2021年3月25日、賛成討論で本会議場に登壇しました。
討論の様子は、神奈川県議会インターネット議会中継でご覧になれます。

討論の概要は以下です。

大志会・菅原直敏です。定県第1号議案「令和3年度神奈川県一般会計予算」に対し、賛成する立場から討論を行います。

●財政運営について

 まずは、財政運営についてです。

 昨年の一般会計予算の討論において、私は「財政が非常に厳しいにも関わらず知事が特別職の給与引き上げを自ら提案すること」や「その危機感の薄れが各施策にあまり良くない形で現れ始めている」と指摘し、「新型コロナウィルスの大流行もあり、来年度予算が提案された時よりも、来年度の状況はさらに厳しくなると予測されます。」と述べ、4年間の県政・財政運営を考える上での最も重要な予算案との考えから、施策運営の転換への期待も込めて、反対をしました。

 実際、令和2年度だけでなく、令和3年度の県税収入は、地方譲与税を加えた税収全体で、前年度当初予算額を1,290億円下回る1兆2,437億円を見込み、これから市町村に支払う税交付金等を差し引いた実質ベースの税収は9,748億円となり、平成24年度以来、9年ぶりに1兆円を下回る見通しです。

 これらは、昨年度において想定されたことであり、来年度は更なる財政の落ち込みにも備える必要があると考えます。今年度は、知事ご自身への姿勢も含め、財政運営のあり方に多少の変化が見られたと捉えており、来年度予算には賛成します。来年度も、不要不急の施策は控え、地に足のついた県民本位の施策を着実に推進することに期待します。

以下、幾つかの施策について、意見を加えます。

●「デジタルトランスフォーメーション」について

 まずは、デジタルトランスフォーメーションについてです。昨年、本県はデジタル戦略本部を設置し、CIO兼CDOに民間人を迎える等、デジタルトランスフォーメーションを推進する体制を整備してきました。デジタルトランスフォーメーションの推進のためには全庁横断的な推進体制と人材配置が不可欠であり、この点については大きな前進であると、改めて評価します。

 さて、行政におけるデジタルトランスフォーメーションの本質は、行政、住民等がデジタル技術も活用して、住民本位の行政・地域・社会を再構築するプロセスであり、経営であるという点です。

 これは、情報通信技術を用いて既存の業務を効率化するICT化とは全く異なる概念であることが非常に重要です。

 したがって、デジタルトランスフォーメーションの推進を標榜する際には、従来の組織運営のあり方を前提に既存の業務を効率化することに主眼を置いたICT化の取り組みを行いながらも、その前提条件をもゼロベースで捉えて、新しい価値を創出する真のデジタルトランスフォーメーションの取り組みが行われることが期待されます。

 このような中、私は質問趣意書や厚生常任委員会において、行政委員会や付属機関等のオンライン開催についての質疑や提案を行いました。これらの取り組みを提案したのは、業務効率化や感染症対策の視点だけではなく、より多様な人材に県政に関わって頂いたり、今までのオフラインの取り組みのみでは活躍の場を得られなかったり、生きつらさを感じてきた人々に新たな可能性を開くためです。

 例えば、人口3,000人強の福島県磐梯町では、昨年6月に全国で初めて町議会における委員会のオンライン開催を実施したのを皮切りに、11月には行政においてデジタル変革に関する審議会、官民共創・複業・テレワークに関する審議会という完全オンライン、ペーパレス、リモートを前提とした審議会を2つ設置しています。

 その目的は、誰もが自分らしく生きられる共生社会を実現するために、障害のある人も、子育てや介護等で家庭にいる人であっても、議会や審議会等を通じて町政に関わる機会を創出することです。

 実際、オンライン審議会の成果は様々な部分で表れています。

 まず、障がいのある方、子育て中の女性・男性の方も多く委員として参加しており、結果的に10名いる委員の半数以上は女性です。また、リモートであるため、世界各地から町が求める優秀な人材に参加して頂くことが可能となり、今までの町では考えられなかったような人材が委員を勤めています。さらに、オンライン開催のため、傍聴席の代わりとしてインターネットを通じてライブ配信をしており、審議会終了後に録画されたアーカイブが即時公開されるため、その視聴者数は1回の開催で数百名となり、情報公開という点でも大きな成果を発揮しています。

 これらの取り組みの重要な点は、共生社会を実現するという理念の下に、町が一丸となって、デジタル技術を手段として上手に活用しているということです。目先の業務効率化や感染症対策のみで考えていては発想できないことであり、まさにデジタルトランスフォーメーションの好例と言えます。是非、WEBで確認して参考にしてみてください。

 「デジタル技術は手段であって、目的ではない」、本県の全てのデジタル技術を活用した取り組みにおいて、改めて目指すべき理念等を整理した上で、県民本位・職員本位のデジタルトランスフォーメーションを推進することを期待します。

●新型コロナウィルス感染症対策について

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

 1月7日に緊急事態宣言が発令されました。

 昨年4月に発令された際との比較ですと、人手の減少効果も抑制的だったように思われます。良い意味で言えば、ウイルスが未知なるものから既知なるものに変わったことによる国民の意識の向上、悪い意味で言えば、自粛疲れ等による国民の気の緩みが表れた形となりました。

 このような中、主な対策として、飲食店の営業時間短縮の要請やそれに伴う協力金の支給が行われました。この施策に対しては、支給の額の適否、業界限定の是非等、社会的議論が起こっています。

 私がこの施策に対して感じた課題が2点あります。行政における制度設計・運用の曖昧さと、事業者の意識変革の必要性です。

 まず、行政の制度設計・運用の曖昧さです。今回の協力金は事業所の規模に関係なく一律6万円であり、業種も飲食店に絞られました。理論的に考えたら、極めて不公平で曖昧な制度設計ですが、緊急事態であることや迅速性を求めるという点で実施されました。しかし、緊急事態宣言が再発令され、営業自粛が飲食店に求められることは、感染症が一旦落ち着いた昨年夏頃には想定されており、この想定内の事態に事前準備をして臨めなかったということについては、県もかえりみる必要が少なからずあるのではないかと考えます。来年度以降も同じような状況が発生することも想定されます。今回の経験を活かして頂けたらと思います。

 次に、事業者の意識変革の必要性です。昨年から今年にかけては、新型コロナウイルス感染症が如何なるものかが判然とせず、その流行がいつまで続くかも未知数でした。つまり、非日常の中での対応でした。しかし、今回の緊急事態宣言を契機に、これらは日常になったと捉えることが、少なくともビジネスに関わる人々には求められると思います。新型コロナウイルス感染症の拡大においても、先行投資の開花や業態を変更する等で、業績を伸ばしている企業も存在します。今後は、全ての事業者が新しい日常を想定し、それに対応する取り組みが求められます。したがって、今後の行政の支援は、現状を維持するための補填から、ビジネスのあり方の柔軟な転換への投資により力点が置かれるべきと考えます。

●共生社会の実現について

 最後に、共生社会の実現についてです。

 誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現は、私自身のミッションでもあり、本県でも進めていくべき最重要の取り組みであると考えます。

 共に生きる社会かながわ憲章に関する事業が計上されていますが、憲章の存在を知っているか否かという点に力点を置いた内容に見えます。確かに、憲章の理念をより多くの人々に知ってもらったり、そのためのアプローチとしてロゴを作ったり、ポップなイベントを開催することも否定はしません。

 しかし、最も重要なことは、なぜこの憲章が制定されたのか、なぜその思いを後世に伝えていかなければならないのかといった、制定当時の社会背景、県民や憲章策定に関わった議会・行政の議員・職員の思いを引き継いでいくことであると考えます。私も当時、厚生常任委員会の委員として、この策定に中心的に関わってきましたが、あの時の壮絶な社会状況と、委員会で繰り返された議論を今でも忘れることはできません。

 当たり前のことですが、年を経るにつれて憲章制定当時の議員も職員も減っていきます。自ずと、憲章のような取り組みは形骸化する傾向にあります。悲しい惨劇から5年目を迎える本年、改めてこの憲章が制定された意義を確認し、この憲章が制定された当時の背景も踏まえ、真の共生社会実現のための地道な取り組みを推進することを期待します。

 以上、令和3年度一般会計予算について、賛成します。

ご清聴ありがとうございました。