9月27日に行った一般質問の要旨は以下です。
2 本県のデジタル変革(DX)について
(質問要旨)
(1)自治体DXの定義とDXの認識共有・機運醸成の取組について
総務省の「自治体DX推進計画」及び「自治体DX全体手順書」において、「自治体DX」、「デジタル化」、「ICT化」等の定義等が必ずしも明確ではなく、本県の「かながわICT・データ利活用推進計画」等においても明確な定義がない。行政において取組を進めるためには、用語の定義と共通理解に基づく取組が前提条件であると考える。
また、「自治体DX全体手順書」では、認識共有・機運醸成の取組の必要性を説いている。DXとは経営であり、首長及び幹部、管理職の意識変革なくして、実現は極めて困難である。
そこで、①本県では「自治体DX」、「デジタル化」及び「ICT化」をどのように定義しているのか、認識を伺いたい。
また、②自治体DXの認識共有・機運醸成の取組について、特に知事・幹部職員のDXに対する理解促進のために、どのような取組を行なってきたか、伺いたい。
(知事答弁)
本県のデジタル変革について何点かお尋ねがありました。
自治体DXの定義とDXの認識共有・機運醸成の取組についてです。
はじめに、自治体DX等の定義の認識についてです。
本県では独自の定義はしていませんが、「自治体DX」は、県民生活や行政のあらゆる分野においてデジタル技術を手段として活用することにより、社会を変革し、人々の暮らしをより豊かにすることと認識しています。
また、「ICT化」は、コンピュータ、ソフトウェア、ネットワーク等を活用して、業務の効率化などを行うこと、そして「デジタル化」は、単なるアナログ情報のデータ化から、ICT化やDXまでを含んだ全体を指す幅広いものと認識しています。
次にDXの認識共有・機運醸成の取組についてです。
電子決裁でハンコをなくすと言ってもハンコがクリックに変わるだけでは意味がない、デジタルの活用により仕事のやり方をどう変えるかが重要であると、私はこれまで庁内の幹部会議などで繰り返し話すなど、DXについて認識の共有を図ってきました。
また、CIO兼CDOが全ての局長と意見交換を行い、全庁一丸となってDXを進める機運を醸成しながら、現場でどのような課題が生じているのか把握し、課題解決に向けて議論を進めています。
今後も、私を含め幹部職員の強いリーダーシップとコミットメントのもと、本県のDX実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
(2)自治体DXの全体方針の決定と推進体制の整備について
(質問要旨)
県では、「デジタル・エクスぺリエンス」の視点を取り込んだ戦略を策定するとのことだが、併せて本県のミッション・ヴィジョンをいかにデジタル技術も活用していくのかという視点が重要である。
また、「自治体DX全体手順書」では、推進体制の整備にあたって、組織・人材の両面から検討する必要性があると説いている。本県では、昨秋にデジタル戦略本部室を設置し、CIO兼CDOを配置したが、県のホームページ上では、その取組はほとんど公開されていない。
そこで、①戦略策定にあたっては、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現という本県の使命を取り込む必要があると考えるが、所見を伺いたい。
また、②推進体制の整備に関わって、本県のDXにおける取組をホームページ等で積極的に発信をしていくことが、さらなる外部人材や企業等の巻き込みに有効であると考えるが、所見を伺いたい。
(知事答弁)
次に自治体DXの全体方針の決定と推進体制の整備についてです。
まず、戦略策定にあたって共生社会の実現という本県の使命を取り込むことについてです。
県では、誰もがその人らしく暮らすことのできる共生社会の実現に向けて、全庁をあげて取り組んでおり、デジタルの取組においても、年齢や障害の程度に関わらず、その恩恵を受けられるようにしてきました。
例えば、県のホームページでは、高齢者等が自分の読みやすい文字の大きさを選択できるようにしたり、視覚障がい者のために音声読み上げソフトへの対応を行うなどの取組を進めてきました。
また、障がい者やその支援者の方々が便利に使えるアプリや機器を紹介するなどの取組も進めてきました。
今後、新たな戦略の策定にあたっても、デジタル技術を活用しながら共生社会の実現に資する取組を盛り込んでいきます。
次に、推進体制の整備に関わって、本県の取組を積極的に発信し、外部人材等を巻き込んでいくことについてです。
県はこれまでも、専門的な知見やノウハウなどを有する外部人材や企業の力を活用しながら、デジタル化を進めてきました。
例えば、昨年8月にLINE株式会社の江口氏をCIO兼CDOに迎え、幅広い知見や柔軟な発想で、コロナ対策をはじめ、様々な分野で力を発揮していただいています。
また、IT企業などに在籍する民間人材と庁内の若手職員で構成するDXチームを立ち上げ、民間の仕事の進め方や課題解決の手法を取り入れながら、様々な課題に取り組んでいます。
今後、新たな戦略や本県のDXの取組を積極的に発信することで、より多くの外部有識者や企業の皆様に関心を持っていただき、さらに幅広い外部人材等と連携しながらDXに取り組んでまいります。
(3)自治体DXにおける本県の市町村支援について
(質問要旨)
「自治体DX全体手順書」では、「都道府県による市区町村支援」が県の役割として期待されている。
例えば、愛媛県では、「チーム愛媛のDX」の戦略の下、自治体DXに広範な知見と実務経験を持つ有識者を、愛媛県・市町DX推進統括責任者に迎え、県内20の全市町に対して、相談・助言、講演・研修等の支援を行なっている。この取組に至るまでには、知事始め全ての首長が同責任者の講演に参加し、共通認識を持ち、共同宣言を全ての自治体で行なう等、一体的な取組として行なわれていることが特徴である。
そこで、自治体DXにおける本県の市町村支援について、どのような取組を行なってきたか、伺いたい。
(知事答弁)
次に、自治体DXにおける本県の市町村支援についてです。
本年7月に総務省が策定した「自治体DX全体手順書」では、市町村が、行政手続きのオンライン化やシステムの標準化・共通化をはじめとする自治体DXの取組を着実に進めることができるよう、都道府県による支援が期待されています。
県ではこれまで、行政手続きのオンライン化について、県を事務局とした「神奈川県市町村電子自治体共同運営協議会」により、電子申請システムを平成17年度から運用しており、市町村の負担軽減を図りつつ、県内均一のサービスを提供しています。
また、システムの標準化・共通化については、県内14町村で構成する「神奈川県町村情報システム共同事業組合」において、税や住民記録などのシステムを共同化する際、ネットワーク整備やセキュリティ対策等の支援を行ってきました。
このほかにも、県と市町村のインターネット接続口を1箇所に集約した神奈川情報セキュリティクラウドを構築し、県と市町村のセキュリティ水準の向上を図っています。
さらに、行政のデジタル化を推進する上での課題やデジタル人材の確保などについて、市町村向けに有識者による講演や先進事例の紹介などを行ってきました。
今後は、こうした取組に加えて、市町村の実務担当者との情報交換の場を設置し、市町村のより詳細なニーズを把握しながら、県として市町村のDXをしっかりと支援してまいります。