神奈川県議会

2022年7月15日厚生常任委員会意見発表

2022年7月15日、厚生常任委員会が開催され、賛成の立場で意見発表を行いました。
質疑の様子は、神奈川県議会インターネット議会中継でご覧になれます。

意見発表の概要は以下です。

1.高齢福祉に関わって

本県では、かながわグランドデザインにおいて、「高齢者が安心して、元気に、生き生きくらせる神奈川県を目指す」ことを目標として掲げ、その具体的な取組として、地域包括ケアシステムの推進を掲げています。

また、かながわ高齢者福祉計画における方向性において、「地域の実情に応じて、地域包括ケアシステムにおける中核的な機関である地域包括支援センターの体制の強化を進めるとともに、必要な人が必要な支援につながることができるよう、地域包括支援センターや市町村が開催する保健医療及び福祉の関係者等で構成される「地域ケア会議」を充実させて地域の関係団体等とのネットワーク構築につなげるなど、地域包括支援センターの機能を強化します。」とされています。

つまり、本県がそうていする地域包括ケアシステムを推進するためには、その中核機関である地域包括支援センターの機能強化が不可欠です。

一方で、地域包括支援センターの機能を支えるという点では、センターにおける社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員等の主要な人員の充足率は足りておらず、人材の量・質両面において、厳しい現状となっています。

かながわグランドデザインにおいては、地域包括支援センター職員養成研修の終了受講者数をKPIにする等、人材の質的向上の取り組みは行われていますが、前提となる専門職の配置が見たいしていない現状を考慮すると、合わせて行うことは地域包括支援センターで働くみなさんが自分らしくやりがいをももって働ける環境を継続するための、最低限の人材の量・質の確保であると考えます。

そのためには、待遇、労働環境等の改善により焦点を当てた取り組みをご意見します。

2.(仮称神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例素案について

同条例素案については、県の津久井やまゆり園における痛ましい事件が大きな契機であったことについては理解をします。

一方で、同事件を受けて県・県議会の協働の下策定された「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念を考慮すると、その内容が本理念を体現しているとは言いつらい部分もあると考えます。

まず、「当事者目線の障害福祉」とありますが、本県は元々国の制度をけん引するほど、福祉の取り組みを熱心に推進する「福祉先進県」として知られており、それが年を経るごとに弱くなってきた経緯があり、その点に関する懸念は同事件の前から地域福祉に熱心に取り組む県民や県議会からも多く指摘されてきました。つまり、仮に県が当事者目線の障害福祉の実践が不十分であったと考えるのであれば、それは同事件の有無に関係なく生じていた事態であり、その点について深い考察をすると同時に、改めて、本県の先人が掲げてきた障害福祉に対する高い理念を振り返り、条例にもその思いを引き継ぐべきであると考えます。

また、各種条例の項目は、本条例が制定されるまでもなく当たり前に推進されなければならない項目が大半であり、新規の条例を策定してまで明記する点に違和感があります。また、基本的な計画の策定については、既存の枠組みの中にその理念を反映されればよく、屋上屋を重ねる事務的な作業と業務が増えることで、職員や現場の負担が増えるだけに終わるのではないかと懸念します。さらに、障害福祉に係る人材の確保と育成を掲げるのであれば、人材確保の主要因である人材の待遇と労働環境の改善を明記しなければ、実効性が担保されないのではないかと懸念します。

最後に、本条例について、当事者目線の障害福祉」という知事の宣言の文言を用いるのではなく、県と県議会が真摯に議論し策定し、平成28年以来啓発に取り組んできた「共に生きる社会かながわ憲章」より、「共に生きる社会かながわ推進条例」のような名称の名前の方が、適切なのではないかと強く感じます。名は体を表すといいますが、現在の「当事者目線の障害福祉推進」はこのような、県・県議会そして県民の真摯かつ熱心なこれまでの取り組みを全く表しておらず、より適切な名称があると考えます。

以上、意見を申し上げ、議案は賛成します。