神奈川県議会

2022年9月13日代表質問要旨①〜1行政におけるデジタル人材の確保・育成について

9月13日に実施した代表質問の要旨は以下になります。
最初の質疑は本県のデジタル人材の確保育成についてでした。

私自身が今期の公約の3本柱として掲げたものを、昨年の一般質問の経過も踏まえて、人材の確保・育成の面から質疑を行いました。

私自身が2018年の社団立ち上げから、全国各地で自治体や民間企業と取り組んできたこと、調査してきたこと、実践してきたこと等が凝縮された質疑となりました。

(質問要旨)

(1)本県のデジタル人材の確保・育成について

デジタル人材の不足は喫緊の課題である。昨年12月に策定された「かながわICT・データ利活用推進戦略」では「デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保」とあるが、職員の採用と外部人材の活用について具体的な取組を確認できない。また、今年3月に策定された「神奈川県デジタル人材育成方針」では、デジタル人材の目指すべき職員像や求められる知識・スキルを明らかにしている点は評価できるが、東京都の方針と比較して具体性に欠け、まだ試行錯誤の過程であるとの印象を受けた。

そこで、「デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保」とあるが、今後の具体的な取組について伺いたい。また、本県のデジタル人材の育成について、来年度以降より具体的な育成の目標、取組及び工程を示していくことが、実効性のある組織的なデジタル人材の育成に資すると考えるが、所見を伺いたい。

 

(知事答弁)

菅原議員の御質問に順次お答えします。

行政におけるデジタル人材の確保・育成についてお尋ねがありました。

まず、本県のデジタル人材の確保・育成についてです。

はじめに、デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保についてです。

デジタル化を進めるためには、長期的な視点で、情報系の専門的な素養を持つ人材を継続的に採用していくことが重要です。

そこで、昨年度新設した「キャリアフリー採用試験」において、受験者がデジタル関係の資格や経験をアピールする機会を設け、それを積極的に評価することで優秀な人材の確保を図っています。また、CIO兼CDOやDX推進アドバイザーとして外部人材を複数任用し、幅広い知見や柔軟な発想で、課題解決に力を発揮していただいています。

次に、デジタル人材の育成についてです。

人材育成に当たっては、具体的な目標を立て、継続的に取り組んでいくことが重要です。

そこで、本県のデジタル人材としてめざすべき職員像や具体的な取組などを整理した「神奈川県デジタル人材育成方針」を本年3月に、新たに策定しました。

この方針では、従来の情報システム等の担当職員を中心とした専門人材の育成に加え、各所属で自らデジタルを活用し業務改善やDX等を推進できる職員を、事業系デジタル人材として育成することとしました。

具体的には、原則各所属1~2名程度を事業系デジタル人材として育成するため、国家試験のITパスポートレベルの知識やスキルの習得を目標とした研修を、概ね2年間で受講させることにしています。

来年度以降、新しい研修も柔軟に取り入れながらより実効性のある取組にしていきたいと考えています。

今後も、デジタル人材の確保・育成を通じ、本県のデジタル化の取組をしっかりと進めてまいります。

(要望)

意見や提案はたくさんあるが、一つだけデジタル戦略本部室にやっていただきたいこととしては情報をオープンにすることだと思うんです。昨年の一般質問でも申し上げたが、「東京、デジタル」で検索していただき、東京都のデジタルサービス局のホームページを御覧いただくとよいと思います。あれだけ情報が公開されているといろいろな人材が集まりたくなると思います。

一方で神奈川県はいろいろな取組をされていると思うが、この質問を作るときにもほとんど情報が公開されていないので、いちいち職員からいただく形でしか情報が取れませんでした。多くの人たちがどこかの件に関わろうと思った時にデジタルのホームページを見るわけですが、今年になってホームページの更新は6月23日の1回だけです。それもデジ田甲子園で、これは政府の取組であり、これは神奈川県の本質的な取組ではありません。神奈川県が人材確保に真剣なのであれば、そういった情報をオープンに出していく。この前提条件を一般質問でも申し上げたが、全く動いていないので、やっていただくとよいのではないかと思っています。

 

(質問要旨)

(2)県内の市町村におけるデジタル人材の共有について

総務省は2023年度、デジタル人材へのニーズが高まる中、市町村業務に必要な人材の確保を支援する目的として、複数の自治体が外部の専門家を共有するモデル事業に着手する方針を示し、「自治体DX推進のためのデジタル人材の確保の取組」の注目事例に愛媛県の高度デジタル人材シェアリング事業を挙げている。本県の市町村の中に、デジタル人材の育成・確保に困難を抱えている自治体も少なくないと想定され、市町村におけるデジタル人材の育成・確保において、県は広域的な観点から果たせる役割があると考える。

そこで、県内市町村におけるデジタル人材の育成・確保及び外部デジタル人材の活用状況について、把握しているか伺いたい。また、特に規模の小さな市町村においては、単独でデジタル人材の量と質を確保することは困難であり、市町村間でデジタル人材の共有を図ることは有効な手段であると考えられるが、所見を伺いたい

 

(知事答弁)

次に、県内の市町村におけるデジタル人材の共有についてです。

まず、県内市町村におけるデジタル人材の育成・確保及び外部デジタル人材の活用状況についてです。

はじめに、人材育成についてですが、県内の多くの市ではDXや情報化の研修を実施している一方で、町村では研修を実施している団体が少ない状況です。

また、デジタル人材の確保や活用状況については、例えば、外部人材を特別職非常勤や任期付き職員として任用している市がいくつかある一方で、外部人材の役割やスキルを整理・明確にすることができないとの声もあり、任用する予定がない、または未定という市町村も多い状況です。

次に、市町村間でデジタル人材の共有を図ることについてです。

市町村のデジタル人材については、これまで、県のデジタル人材を派遣してほしいとの要望に基づき、県と市町村の間で、長年にわたって運用してきた職員交流システムを活用し、即戦力となる県の情報部門で経験を積んだ職員を派遣してきました。

現在、3団体に派遣しており、市町村へのノウハウの共有や人材の育成を行っています。

一方、官民を問わず、デジタル人材の需給がひっ迫していることもあり、複数の企業や自治体の間で、外部のデジタル人材をシェアリングする動きがあることは承知しています。

そこで、こうした新しい取組を始めている自治体に効果や課題などを確認しながら、まずは市町村の意向を丁寧に把握していきます。

今後とも、これまで実施してきた取組を含め、市町村のデジタル人材の確保・育成を支援し、県全体でDXをしっかりと推進してまいります。