神奈川県議会

2022年9月13日代表質問要旨③〜3 共生社会を支える人材の待遇改善について

9月13日に実施した代表質問の要旨は以下になります。
共生社会を支える人材の待遇改善についての質疑を行いました。

私の今期の公約の3本柱の一つである「共生社会」について、待遇改善の側面から取り上げました。

特に介護・障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善については、本定例会に上程されている「当事者目線の障害福祉推進条例案」の中に、私が本会議や厚生常任委員会等で強く求めてきたことが条文化されており、大きな前進に寄与できたのではないかと思います。

現場の「勤務間インターバル」制度については、いつも質疑を行なっている通りです。とにかく声を上げて、日本の現状を変えていく必要があります。

(1) 介護・障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善について

(質問要旨)

津久井やまゆり園事件の原因が、差別的思想を持った人間等を施設職員として採用せざるを得ない、人材の不足が背景の一つである。ケアワーカーの待遇が向上しないことが、その一つの要因であり、構造的な問題に焦点をあてるべきと考える。県として当事者目線の障害福祉推進条例案で処遇改善の意志を明確にしたことは高く評価している。しかし、依然として介護・障がい者福祉に従事する方々の給与水準と労働環境が厳しい現実に変わりがなく、県の処遇改善に対する意志を実効性のある形で推進していくことが求められる。

そこで、本県として、障がい者福祉に係るケアワーカーの待遇の改善を図る意志 を条例案において明確にしたが、これらも踏まえ、将来に渡って、介護・障がい者福祉に係るケアワーカーの待遇の改善における各種取組に実効性を担保していくことが重要であると考えるが、所見を伺いたい。

 

(知事答弁)

共生社会を支える人材の待遇改善についてお尋ねがありました。

まず、介護・障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善についてです。

介護・障がい福祉の現場で働くケアワーカーの待遇は、他業種に比べるとまだ十分とは言えず、県としては、より一層の改善が必要と考えています。

そこで、今定例会に提案した「当事者目線の障害福祉推進条例案」には、県が処遇改善に資するための措置を講ずる旨を規定し、現場の第一線で利用者支援にあたるケアワーカーの待遇改善に取り組むこととしています。

具体的には、介護・障害福祉サービスの報酬に上乗せする「処遇改善加算」を事業所が取得できるようにすることが重要だと考えています。

県では、加算取得のためのセミナーの開催や事業所からの相談に応じるなどし、一定の成果を上げてきました。

しかし、いまだ加算の取得に至っていない事業所からは、加算取得のための事務作業が煩雑などの課題が挙げられています。

そこで、県は、全ての事業所が加算を取得できるよう、事業所を個別に訪問して、課題を整理し、規程類を整える等、個々の事業所に寄り添って、きめ細やかに支援していきます。

また、高齢者保健福祉計画等において、処遇改善加算の取得率を目標として設定し、進捗状況を管理するなど、より一層、計画的に事業所による加算の取得を促進していきたいと考えています。

さらに、介護・障害福祉サービスの報酬は、国が定める公定価格を基本としていることから、報酬そのものの更なる引上げなどを国に粘り強く要望していきます。

こうした取組により、ケアワーカーの更なる待遇改善を確実に進め、共生社会を支える人材の確保に努めてまいります。

(要望)

まず、条例に関して、いろいろ評価をされる点があると思うが、私は処遇改善に踏み込んでいただいたのがすごく大切なところではないかと思う。全国的にも珍しいと思うので、是非、この点は発信していただけると現場にとっても良い影響が現れると思う。

処遇改善の加算に関しては、介護分野は94%、障害分野は82%の取得率である。障害福祉分野がなぜここまで取得率が低いのかは、いろいろな理由があると思うが、加算をしっかり取るということがスタートラインだと思うので、ここに対する対応は先ほどの答弁のとおりしていっていただければと思いますし、その上で国に働きかけていくことを併せてやっていただきたいと思う。

(2) 看護・介護・障害福祉分野における「勤務間インターバル」制度の導入促進について

(質問要旨)

本県では、産業労働局を中心に、中小企業労務管理セミナー等の取組を通じて、勤務間インターバル制度についても扱った啓発等を行っていることは承知しているが、県の看護・介護・障がい福祉分野に関わる担当部局が、同分野の企業及び医療法人・社会福祉法人等の団体に対して、「勤務間インターバル制度」の導入促進への総合的なアプローチを行うことが重要であると考える。

そこで、民間企業における「勤務間インターバル」制度に関する本県の考えや今までの取組について伺いたい。また、特に看護、介護、障がい福祉分野における導入が重要であると考えるが、所見を伺いたい。さらに、看護、介護、障がい福祉分野の企業・団体において「勤務間インターバル」制度の導入を促進する取組を県として進めていくべきであると提案するが、所見を伺いたい。

(知事答弁)

次に、看護・介護・障害福祉分野における「勤務間インターバル」制度の導入促進についてです。

「勤務間インターバル」制度は、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止に、大変効果的な制度です。

そのため県では、民間企業に対する幅広な取組として、中小企業の労務管理者を対象にした労務管理セミナーなどで、この制度を周知し、導入を促してきました。

議員ご指摘の看護・介護・障害福祉分野では、夜勤を含め交代制勤務の施設が多く、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい勤務環境が続いていますので、勤務間インターバルを十分に確保するなど、過重労働を防止することが大変重要と考えています。

そこで、医療従事者に対しては、労務管理セミナーでの周知に加え、勤務環境の改善を支援する研修の中で、看護職員の時間外勤務の縮減などに取り組んだ好事例の紹介を行っています。

また、介護・障害福祉サービス事業者に対する講習会でも、勤務時間や休日の割振りなど交代制勤務の適切な運用を促しています。

今後は、こうした研修や講習会の中で、勤務間インターバル制度について改めて周知を行い、積極的な導入を促すことで、看護・介護・障害福祉分野における勤務環境の改善を図ってまいります。

(要望)

勤務間インターバルに関しては、16時間夜勤をさせる国は日本くらいです。これはやはり、なくしていきたいというのが正直な、自分自身もやってみての感想です。そういった意味では、こうした企業に対してンセンティブを与えていく、そういった仕組みも今後、考えていっていただけたら、と思っています。

以上で私の質問を終了させていただきます。