調査活動

かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センター

【テーマ】

かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センターの現状

【調査地】

かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センター

【調査者】

菅原直敏

【内 容】

第1節 調査の概要

 かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センターを訪れ、神奈川県民活動サポートセンターボランタリー活動サポート課角田重樹氏より施設の概要説明を受け、施設を視察しながら意見交換を行った。

第2節 かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センターの概要

かながわ東日本大震災ボランティアステーション遠野センターは、①神奈川県民のボランティア支援、②被災地ボランティア活動の情報収集と発信及び③被災地関係機関・団体との総合連絡調整を主な事業目的として7月24日に、岩手県遠野市に設置された。愛称はかながわ金太郎ハウスである。平成25年度を目途に設置されている。

定員は40名。神奈川県から2泊5日(車中泊2日)の日程で、ピストンバスによってボランティアがやってくる。遠野市が選ばれた経緯であるが、神奈川県から比較的遠い、岩手県の各沿岸地域に、車で1時間圏内という距離にあり、遠野市から土地の無償貸与を受けているためである。

施設内は、事務局及び共同スペースと3つの宿泊部屋(20名部屋1つと10名部屋2つ)があり、別棟に食事や会議をするスペースがある。プレハブ自体は、中古の素材を使用しており、2年間のリース料で700万円程度とのことであった。

写真:手前が金太郎ハウス、奥は静岡県の施設

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写真:ソーラーパネルを設置

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第3節 金太郎ハウスの現状

 現在は夏休みということもあり、学生を中心として施設には常にボランティアがやってきている状態である。被災現場に向かい、ボランティア活動に従事している。現在は、申し込みが超過しているようであるが、9月以降は定員割れもあり得るとのことであった。

 また、金太郎ハウスの横には静岡県の同様な施設が設置されていた。現在は特に横の連携はなく、各自治体が独自の活動を行っているとのことであった。

 さらに、施設の前には神奈川県が推進している太陽光パネルが設置されていた。業者からの無償納入とのことであるが、施設の電力量の1割程度を賄える発電量とのことであった。

 今後の展望としては、目標期限の平成25年度までに被災自治体のニーズをくみ上げながら、神奈川県の支援拠点として活動していくとのことであった。

第4節 総括

 県民のボランティア活動に向かうニーズを汲み取り、県として活動の拠点を設置したことは政策として妥当であると考えられる。また、費用面においても、プレハブの設置費用等低額に抑えられており、費用対効果の面でも妥当であると思われる。

 但し、設置期間の2年の間に、被災地の状況やニーズも段々と変化する可能性も高く、ボランティアの量や質ともに、変化が求められるようになることが予測される。地元の社会福祉協議会とも連携をとっているようであるが、刻々と変化する現場に合わせて、同施設の役割も柔軟に変化させていくことが更なる効果的な施策運営の鍵であると考えられる。

 また、復興が進むに従って現場で必要とされるボランティアの量も減ってくることが予測されるが、隣接する静岡県の施設との連携によって、両県にとって効率的な運用方法を検討することも必要であると考える。