【テーマ】
被災地の現状について
【調査地】
【調査者】
【内 容】
第1節 調査の概要
釜石市の調査後、岩手県大槌町を訪れ、被災地域の視察を行った。続いて陸前高田市の被災地域の調査を行った。
大槌町と陸前高田市の被災の共通点は、役所自体が被災したため行政機能が完全に停止してしまった点である。地域防災計画は、基本的に庁舎が存在し、役所の職員もある程度生存していることを前提としているため、両自治体の事例のように庁舎自体が被災し、その職員の大半も被害に遭った場合には、多くの点で計画の遂行に支障を来すことになる。
第3章する紹介する塩釜市や気仙沼市の庁舎は、大きな被災を免れ被災対策に比較的迅速に対応できたことを考えると、庁舎の設置位置は非常に重要な問題であるといえる。
写真:被災した大槌町役場

写真:大槌役場の中

写真:被災した陸前高田市役所

写真:役所の中

第3節 総括
大槌町は庁舎が被災し、多くの職員及び市民の生命が失われた。災害対応にあたる際のリーダーである町長や幹部職員の大半が亡くなってしまった。副町長が職務代行を務め、現在は総務課長が職務を代行している。町長選挙が8月28日に実施されることになり、仮設の役場にも町長選挙の告知が行われていた。また、陸前高田市も庁舎が被災し、被災後の復旧活動に大きな支障をきたした。
これらの経過を勘案すると、津波の危険性が指摘される自治体の庁舎のあり方は改めて考えられるべきである。被災後の役所の有無は、復旧・復興活動の円滑性に関わる重要な問題であり、早急に対応すべき重要な課題である。
例えば、役所のデータのバックアップ機能を充実させることや、庁舎の移転は困難であっても、役所機能の一部を内陸に分散することは、比較的予算もかからず可能である。
神奈川県内においても、神奈川県庁だけでなく、県内のいくつか自治体の庁舎が津波が起こった際に被災をする可能性が高い場所に立地している。被災地の教訓を生かし、庁舎の立地のあり方について県でも取り上げていきたい。