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役人のレトリック

メールマガジン(携帯版・PC版)を発行しています。以下の文章は、メルマガ「カエル通信」からの抜粋です。

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「『大臣は各省の代弁者』というのは、よく耳にするフレーズだ。組閣の日、大臣に就任することが決まると、直ちに、各省官僚によるレクが行われる。政策に通じていない多くの政治家の場合、仮に前からそのポストを希望していたとしても、政策上の目標や方針を自身を持って語ることはできない。結局、組閣直後の就任記者会見では、『ご発言要領』に沿って発言し、貴社の質問に答える。政治家だから演説には慣れていても、発言の中身は官僚からの”借り物”が大半になる。

『ご発言要領』の中には、前に触れたような『落とし穴』も仕込んであって、いったん会見でこれを読み上げて応答してしまうと(大臣の会見での公式な発言は、通常は撤回するわけにはいかないから)その路線、つまり役所の敷いたレールから抜け出せないようになっていたりする。

こうして、就任して数時間のうちに、たちまち『各省の代弁者』に仕立てられてしまう、というのが一般的な実態だった。」

この文章は、前回のメルマガで紹介した、原英史著「官僚のレトリック」からの引用です。

今の政治の状況をよく表している文章だと思います。

その分野の知見に不案内で政策に通じていない政治家が、大臣という政策に通じていなければならないポストにつくため、官僚主導の行政運営になってしまうということです。もちろん、熱心な方の中には就任した後にその分野について勉強を行うでしょうが、その時には官僚によって作られた過去の自分の発言に縛られ、身動きがとれなくなってしまっており、結局官僚の言うままに動いてしまうということでしょう。

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実は、このことは国政だけに当てはまることではありません。地方でもよく見られることです。公選職になることに執心するあまり、政策的な知見をほとんど有さず首長や議員になる人は意外と少なくないからです。

この時に問題となるのが、政治家として基本的な発言や根本的な理念を役人に丸投げしてしまうことです(首長で、役人を使いこなして作らせる場合はこの限りでない)。まさに、原氏の触れているような「身動きできない大臣」が、地方においては「身動きできない首長・議員」として出現することになります。

議会等で、役人の考え方をそのまま踏襲するような答弁をする首長や、役人の作った質問原稿をそのまま読み上げてしまう議員が、地方議会にも散見されます。そこには様々な理由があるのですが、特に首長の場合は、高邁な理念や意気込みがあっても、行政の長として扱う事柄が多岐に渡りすぎており、中途半端な知識で就任してしまうと、役人の協力も得られなくなってしまう為に、やむを得ず役人に取り込まれてしまう者もいるようです。

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第2回定例会が開催されています。

知事就任後2回目の代表質問が終了しました。私も、会派の代表者として50分という長時間に渡り、代表質問に立ちました。質疑の内容は、神奈川県議会のHPで録画中継をご覧になれるので、是非ご覧ください。

今回の質疑で注意して聞いて頂きたいのは、公務員給与の削減と県の天下りに関する私と知事のやり取りの部分です。端的に言うと、財政状況が厳しい中でも公務員給与は下げないということと、実質的に県の天下りを容認する旨の答弁だったのですが、私はこの発言が本当に知事の本位の考えから出て来たのか耳を疑いました。

なぜなら、フジテレビのキャスター時代に、しつこいくらいゲストの政治家を追求し、悩ませていた黒岩さんの姿が私の中には印象としてあったからです(従って、個人的には好きな人です)。しかし、傍聴した方からも、ネット中継を傍聴されていた方からも、これらの答弁に関しては失望する声が多く寄せられました。

黒岩さんが、神奈川県政に関する知識をほとんど持っていないことは自他共に認めています。その為、太陽光だけでなく医療分野とかマグネット(?)といった、自分が今まで得意としてきた分野の一般論に関して執心するのでしょうが、今回の質疑においては、時々知事が「役人の代弁者」に見えました。

これは、言い過ぎでしょうか?

録画中継をご覧になって皆さんのご意見を頂けたらと思います。

質問の様子はこちらでご覧になれます。

http://www.kanagawa-pref.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=11977&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB