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【メルマガより】Jリーグ方式と競争原理

メールマガジン(携帯版・PC版)を発行しています。以下の文章は、メルマガ「カエル通信」からの抜粋です。

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「日本中枢の崩壊」の著者であり、元経済産業省の官僚である古賀茂明氏は、「官僚組織に緊張感をもたらし、有能な人材を活かせるよう、局長、部長、課長などの各クラスごとに人員の最低一割を毎年、無条件で入れ替えること」を提案しています。これは、Jリーグが採用している方法で、その元の考えはヤマト運輸の幹部人事にまで遡るそうです。

実は私も以前から同じような理念を持っていました。役人の組織に欠けているのは、緊張感と競争原理であるということです。「大きな問題を起こさなければ、何をしていても同じ」という状態であれば、自ずと役人の行動原理は「事無かれ主義」に陥るし、本当に国民や住民のことを考えて行動する役人を排除する文化が生まれます。

古賀氏のように国家の事を真に考えている官僚が、野に下らざるを得なくなるのも、ある種の構造的な問題と言えます。

●役人より問題なの政治

しかし、私が役人の世界よりも問題であると考えるのは、政治の世界のことです。この世界はもっと競争原理が働きません。任期中にまったく或いはほとんど発言しなくても、役人に質問作成を丸投げしても、議員として在り続ける人間が少なくありません。

本来であれば、このような人間が選挙というシステムで排除されなければならないのですが、選挙制度の構造及び運用に関して問題があるため、民意という「ふるい」がうまく機能していません。

●政党内にも競争原理を

残念ながら、県議会レベルの選挙になると、ただ政党の看板を背負っているだけでも当選してしまうことがあります。無投票や実質出来レースの選挙区が少なくないのです。こうなると、選挙の前段階の公認の段階でなんらかの「ふるい」を現職の議員に対してもかける必要があります。

アメリカのように政党の民主化が進んでいる国であれば、現職の議員といえども、党内選挙の過程を経て本選に進んで行くのですが、日本の政党は様々な点で非民主的な為、現職であれば議会内の仕事の良し悪しに関係なく基本的に再公認さるので、党内民主主義の関わる余地はありません。そして、この事が新しい人材が議会に入っていくことを阻んでいます。

公認の段階で、現職の議員に関しては議会活動の内容も加味し、一定量の議会活動をしていない議員は公認をしないという緊張感を持たせることも必要ではないでしょうか。そうでない限り、議会に来てただ座席に座って帰っていくというような議員の存在がなくなることはないと思います。

●会派内の競争原理

議員になってから自分の所属する議会に限らず様々な会派を眺めてきましたが、仕事をする議員とそうでない議員の差が激しいことが大きな問題であると感じていました。むしろ、住民の為に仕事をしようとする議員が疎んじられる雰囲気すらありました。もちろん、このような会派にはチームとしての政策立案機能は期待すべくもなく、役職を獲得するための互助組織に成り下がっています。

私が現在の会派の政調会長になって最も心配した点もこの点です。果たして皆が一丸となって、政策立案等に取り組んでいくことができるだろうかということです。

ただ、新人議員が大半なので、仕事に対する情熱が旺盛なことに助けられました。また、クラウドコンピューティングを用いることで、所属議員の仕事をオンタイムで見える化し、お互いが刺激し合う執務環境も整えました。

結果的に、良い意味で切磋琢磨して議員活動に精を出しています。もちろん、その分私の抱える仕事も増えるのですが、これは嬉しい悲鳴です。議員生活9年目で初めて「チームとして」意義のある活動をできている実感があります。

●要は良い人材が生きるシステム

議会人として9年間、議会と行政の問題点を考えてきました。行きつくところは、良い人材が生きる仕組みを構築しなければならないと言うことです。役人・議員=悪ではありません。しかし、その中に悪の要素があり、そればかりが表面化している側面があることも否めません。

本当に国や地域を憂う有能な議員や役人の意識が前面にでるような、そんなシステム構築が必要です。そして、事あるごとに私が提案する制度改革の主張がその一部なのです。