介護における最も基本的なコミュニケーション技術に「傾聴」というものがあります。
傾聴することは、相手の心を自分の心で聴くことであり、相手の思いやりや気持ちを受け止めることであり、そして相手の価値観を尊重することでもあります。
相手の話を聴いて、受容して、お互いの共感を醸成することがよりよい介護には最も重要なこと。
これらは言葉で言うと簡単ですが、実践するとなかなか難しいです。自分より倍以上長く生きてきた人、認知症が入っている人などの話を忍耐強く聴かなければならないからです。相当な経験・知識と技術が必要です。
逆に最もやってはならないことは、相手の価値観を認めず、聴かず、理解しようとせず、自分の考え方のみを押し付けようとすること。
介護現場では毎日がこの傾聴の実践の日々です。その代わり、自分自身が人間として成長していくのも実感できます。
話は変わりますが、この「傾聴」という作業、政治に関わる人も学んだら役に立つのではないかと日々感じています。私もそうでしたが、政治に関わる人の中には、人の価値観は認めず(或は認めた振りをして)、自分の主張ばかり仰々しく語る人が少なくありません。
相手の考え方を傾聴して、理解をした上でなされる議論の方が建設的な結果が生まれるではないでしょうか。