特別養護老人ホーム「第2新横浜パークサイドホーム(社会福祉法人千里会)」を視察しました。
EPAを活用した外国人介護福祉士及び候補生の現状を知るためです。
1.生き生きした外国人介護職員
本施設では、インドネシア出身の方々を中心に29名の介護職員(介護福祉士15名、候補生14名)と2名の看護職員(看護師1名、准看護師1名)が働いています。
まずは、みなが笑顔で礼儀正しく働いていたことが印象的でした。当然、日本語での意思疎通も問題ないですし、専門用語を多用する日報や事項報告・ヒヤリハットなども拝見しましたが、丁寧な字で記録されていました。
職場での評価も高く、同僚とも打ち解けて仕事をしているようでした。
肝心の仕事内容についてですが、利用者の方々の声を私が聞いてみると、外国人であるということを気にする様子はなく、その人の介護に対して高い評価をしていました。
少しお話した程度ですが、外国人介護職員の方々の真摯な印象は、私自身本当に感動しました。
2.日本人と外国人の相違なく~衣食足りて礼節を知る
この施設の良いところは、外国人と日本人という分け方ではなく、あくまでも「仕事本位」で職員を評価している点です。この点は非常に重要で、「外国人=安い労働力」と短絡的な発想をする事業者や日本人が少ない中で、実は外国人労働者を適正に評価をし、適切な待遇で対応していくことが結果的には事業者にとってもプラスになることを施設長はよく理解していると感じました。
「外国人を安く使い、暮らしができない環境に置き、結果的に社会からドロップアウトさせてしまったら、治安の悪化や生活保護費の増大につながる」旨の施設長の考えは、素晴らしいと思いました。
「衣食足りて礼節を知る」
これは、日本人も外国人も変わりません。
もちろん、外国人介護職員の中にも過去まったく問題がなかったわけではなく、過去の失敗も含めて勉強をしながら、この施設にとってプラスになる外国人職員を受け入れています。
例えば、インドネシアの方であればイスラム教徒が多く、一日5回のお祈りが必要ですが、受け入れ段階で日本の文化や労働環境も説明し、日本の介護職員と同じように働けるという合意をとるなど、マッチングミスを防ぐ取り組みもしています。
施設長曰く、EPAは方向性としては良い制度ではあるが、運用にはまだまだ多くの課題があるとのことでした。
3.高層特養〜世界を巡りながら
特別養護老人ホーム等の施設は何故低層なのだろうと、私はいつも思っていました。都市部においては土地の有効活用の面や集約化から高層の施設があっても良いのではないかと思っていました。
そしてこの施設は9階建てでした。ここら辺は建築基準や規制の関係もあるので、今度別途勉強をしたいと思います。
2013年に開設されただけあって非常にきれいで、私も働いてみたいと思うような内装でした。また、ユニットの命名も興味深く、世界の都市の名前です。高齢者施設というとたいてい花の名前など奥ゆかしい命名が多いのですが、さすがは新横浜にある都会の特養、ハイカラです。ヨコハマから各都市への距離も記載する徹底ぶりです。
以上、おおざっぱな報告ですが、この施設は施設長の経営方針と真摯に介護に取り組む外国人介護職員がいい形で調和している職場だと感じました。国内には外国人介護職員との問題を抱えていたり、お互いがウィンウィンの関係に立てない職場もあると思いますが、EPAの制度のメリット・デメリットを考慮しながら、優秀な介護職員が日本人・外国人の分け隔てなく活躍してくれるならば、日本の高齢化についても少しは明るい未来が見えると考えます。
対応してくださった牧野施設長を始めとした施設職員や外国人介護職員の方々、調整をしてくださった神奈川県職員の方々に改めて感謝を申し上げます。
大和市内訪問施設・活動:6件
大和市外訪問施設・活動:7件
千里の道も一歩から