JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が運営する北九州PCB廃棄物処理施設を視察しました。
PCBとはポリ塩化ビフェニルの略称です。PCBは熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れているため戦後の日本の産業において広く用いられてきた化学化合物です。例えば、加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサといった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤などが挙げられます。一方で、人体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすかったり、発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こしたりする性質があります。
写真:コンデンサ
PCBは1968年のカネミ油症事件を契機に生産、使用が中止になりました。カネミ事件とは、PCBが混入した食用油を摂取した人々に障害等が発生した案件で、特に福岡県、長崎県を中心とした西日本一帯で食中毒が発生した事件です。油を摂取した患者からは、皮膚に色素が沈着した状態の赤ちゃんが生まれるなど多くの被害が発生しました。
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(1975年施行)により製造・輸入・使用が規制されていますが、処理の対応が後手になってしまっていることが大きな問題とされています。
PCBが使用されている機器類の所在は全てが把握されているわけではなく、近年でもこれらの機器の不具合などによって被害を受ける者もいるため、その危険性から迅速な処理が求められています。
同僚の飯田満議員が県議会でも熱心に取り上げている課題であり、今回の視察を通じてPCB全般について理解が深まりました。
私の地元大和市でも決して無関係な問題ではありませんし、汚染物の回収にかかる取り組みは基礎自治体による部分も少なくありません。
なお、この問題の解決が進まない背景には、汚染物の所在がわからないだけでなく、その処理費用の大きさも挙げられます。例えば、「10kg〜15kgの総重量の機器」を処理する際にかかる費用は約43万円となります。中小企業には処理費用の補助制度もありますが、ここが大きな課題であると感じました。
今後も飯田議員を中心としてこの問題に会派として取り組んでまいります。
千里の道も一歩から
北九州PCB処理事業所のHP
