国会で衆議院議員定数の削減の議論で決まって出てくる意見が「地方の人たちの意見が反映されなくなる」ということです。最近の報道でも与党の議員から「大都会への一極集中、それを含めて考えるべきじゃないかという問題提起をしている」との意見があったそうです。
確かに日本の人口は都市部に集中しており、少数派である「地方」の人たちの意見を尊重して国政をしていくことは大変重要なことであると考えます。しかし、それは「一票の価値に差をつける」形で行われるべきことではなく、一票の価値が等しい有権者から選ばれた国会議員が国会運営の中で配慮をして行うべきことであると考えています。地方の議員の数を歪に増やすことだけが、地方の人々の声を反映する手段ではないはずです。
また、都会と地方という対立軸にも疑問があります。確かに、都会と地方では意見の違いがありますが、都会の人間同士でも地域による考えの違いはあります。東京圏と大阪圏の人の考え方は違いますし、同じ東京圏でも千葉県の人と神奈川県の人の考え方も違います。さらに同じ神奈川県でも横浜市と大和市の人考え方は違うはずです。私は都会という名目で括られ、一票の価値を低くされてしまっている現状に違和感を強く感じています。
従って、基本的には人口比によって等しい価値の一票を私たち国民は割り当てられることが、憲法の理念に合致するのではないでしょうか。
仮に、一票の格差を許容するのであれば、例えば米国の上院議員の各州の代表のように憲法に反しない理念を打ち立てて、国民の合意の下に憲法に規定することで行うべきと考えます。
なお、神奈川県議会でも一票の格差が存在します。主に選挙区を自治体単位に拘るため生じるものですが、こちらも選挙区の設定を柔軟にできる法改正を国には求め、私たち県議会議員自体もこの問題をもっと深刻に受け止めるべきであると考えていますし、定数に拘る会議に出たときはこの考えの下ご意見を申し上げてきました。
理想的なのは、当事者の議員の私益が反映されないように、機械的に選挙区が人口比に修正されていく制度であると思います。あるいは政党政治を前提にするのであれば完全比例代表選挙も一票の格差の解消という点からは有効です。
千里の道も一歩から