本会議最終日が終了しました。
2月15日から始まった平成28年神奈川県議会第1回定例会が本日終了しました。
一般会計、特別会計及び企業会計の総額3兆円を超える予算案を審議するというのは大変な重責です。ちょっとした小さな国の国家予算と変わりません。
また、今議会では非常に多くの議案も審議、採決しました。
県民の生活を預かる重責を改めて感じます。
ところで、今議会は役割も多く、やりがいもありましたが、終わってみるとあっという間でした。
本日は、会派を代表して本会議場で討論にも立ちましたので、その概要についても以下掲載しておきます。
千里の道も一歩から
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私は「維新の党・無所属神奈川県議会議員団」を代表いたしまして、本定例会に提案された諸議案に対し、所管常任委員会の審査結果等も踏まえ、賛成の立場で討論を行います。
まず、「本県財政」についてです。
本県の平成28年度当初予算編成は約650億円という厳しい財源不足からスタートしました。あらゆる手段を講じて、ようやく収支を均衡させたところでありますが、知事が提案説明で述べた「実質的には当該年度中の歳入で歳出を賄えていない、綱渡りの財政運営」が続いております。
また、平成28年度から32年度まで5年間の「中期財政見通し」が今定例会の途中に示されましたが、これによれば今後5年間の財源不足額は約3,750億円となっているだけでなく、これまで苦肉の策として行ってきた「不用県有財産の売却」についても行政改革大綱の内容を見れば、見通しが厳しくなっております。
このような厳しい本県の財政状況を考慮して、私たちは先日職員の給与等にかかる諸議案について反対しましたが、知事及び職員の皆様におかれましては、民間活力の導入推進や人事評価制度の適切な運用等、行財政運営の効率化について全庁で取り組み、財政健全化の取り組みを進めて頂くよう求めます。
また、本県のあり方や指定都市との二重行政の解消を目指して設置される「指定都市都道府県調整会議」については、本県の側からその実現に向け積極的な働きかけを行ってい頂くよう求めます。
それでは各論に入りますが、厳しい本県財政も考慮し、県民ニーズを的確にくみ取ることで、事業のより一層の「選択と集中」を行い、効率的かつ効果的な施策実施を求めます。
まずは、「県立高校入学者選抜試験における採点ミス」についてです。
県立高校の入学者選抜試験において、昨年は71校188人、今年は大幅増の87校330人で採点ミスがあったことが明らかになりました。
県教育委員会は昨年の該当者2名については合格した高校への「転入」を、今年の該当者には受験した高校への「入学」を、本人の希望に沿って認める方針とのことですが、言うまでもなく、入学試験の結果は、受験生の人生を大きく左右します。
県教育委員会が設置する第三者委員会である「県立高校入学者選抜調査改善委員会」に厳格な再発防止策を策定させ、その運用を徹底することによって、受験生・保護者の方々の信頼回復に努めるよう強く求めます。
次に、「水素ステーションについて」です。
本県では、水素社会の実現に向けて、平成27年3月にロードマップを作成しました。今回の知事提案説明の中でも、「新たに、水素ステーションの整備費に対する補助も開始する」と述べられています。
今後、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を控え、水素ステーションのような先進的な設備や技術が、次々と出てくると思われます。よって、国に先んじて安全対策を講じたり、県民の水素に対する理解を促したりすることで、水素社会の実現に向けてご尽力して頂くよう求めます。
次に、「違法薬物対策」についてです。
覚醒剤取締法違反で元プロ野球選手が逮捕された事件は、多くの国民にショックを与えるとともに、覚醒剤による犯罪が改めて注目されることとなりました。
このような中、昨年の本県における覚醒剤の押収量は、前年比9046.1グラムと増加したことは評価できますが、一方でそれだけ多くの覚醒剤が世の中に蔓延していたという見方もできます。
全薬物事犯の検挙人員に占める覚醒剤取締法違反の割合は約7割と高く、県民の安全・安心の確保のためには、覚醒剤を含めた違法薬物対策をより一層強化する必要があると考えます。
今後とも、各種関係機関との連携を密にし、覚醒剤をはじめとした違法薬物の蔓延阻止に向けた取締り等、諸対策を引き続き強力に推進し、薬物作用による二次的な犯罪の防止など、県民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向けてご尽力して頂くよう求めます。
次に、「地籍調査における土地境界の確認について」です。
建設常任委員会における我が会派の質疑の中で、法務局に備えらえている公図が、実際には正確性に濃淡があることが分かりました。
2002年以降は、世界測地系に基づいた座標値による正確な地図が作成されています。しかし、それ以前の公図では現地の土地の形状とが合致しない場合があり、実際の境界確認では、県民同士の間で様々なトラブルが生じています。
現在、全国的に地籍調査が進められているところですが、本県の進捗率は約13%と、他自治体と比較し、依然として低い状況です。
世界測地系に基づいた座標値による正確な地図の整備は、平常時においては不動産の権利関係の明確化に繋がり、さらに災害の復旧・復興時においては、その迅速性・正確性に役立つものでありますので、その整備促進にご尽力して頂くよう求めます。
また、その過程においては、一般の県民や市町村との協力が必要となることもあると考えますので、スムーズな連携を図れる環境を整備していただくよう併せて求めます。
次に、企業庁関係、「県営水道」についてです。
県営水道につきましては、今後の見通しでは節水技術の向上や人口の減少などにより、水道料金の減収は明らかなものとなっているだけでなく、漏水対応や古くなった施設の整備など、様々な課題を抱えております。
県企業庁としましては、これらに関する効果的かつ効率的な諸対策を推進し、将来に過大な負担を残さない運営に努めて頂くと同時に、企業庁が保有する不動産財産の売却によらない方法での有効活用も検討するよう求めます。
次に、かながわ酪農活性化対策事業として位置づけられた「県産牛乳のPR・ブランド化の推進について」です。
酪農家、乳業メーカー、行政で組織する「かながわ畜産ブランド推進協議会」が事業展開する本事業について、学校給食を通じた本県の酪農と乳業への理解、や高付加価値化などの酪農家の自主的な取組みを促し、将来の酪農経営安定化に向け、可能性を高めて行くという趣旨には賛同いたします。
知事は「優良な乳牛の増産による牛乳生産力の向上や県産牛乳のブランド化などに取り組む」と提案説明で述べていますが、1軒の酪農家に対する乳牛の飼養頭数拡大や優良な乳牛の生産には、依然として様々な課題もあります。また、この15年間で酪農家は半減しているという厳しい現実も直視しなければなりません。
また、本事業が一部の酪農家だけではなく、県内の全酪農家に利益をもたらす形での事業展開となり、酪農活性化対策につながることを県民に示すよう求めます。
次に「障害者差別の解消」についてです。
誰もがそれぞれの立場で幸せと生きがいを感じられる共生社会の実現に向けて最も重要なことは人の意識を変えることであると考えます。障害者差別解消法が4月より施行されることに伴い、様々な障害福祉に関する施策が展開されると思いますが、県庁の身近な対応やインフラにも目を向けてください。特に県の顔である本庁舎の正面玄関については、障害の有無に関係なく、誰でもが入庁できる職員対応、表示、設備等の整備を進めるよう求めます。
次に、「保育士試験の複数回実施」についてです。
前期より昨年の代表質問及び予算委員会にかけて、私たちの会派が提案し続けてきた「通常の保育士試験の複数回実施」について、知事は本会議で「通常の試験で年2回実施する」旨の答弁をされました。「国の岩盤規制を崩す」という知事の強い決意が国を動かした事例として高く評価します。今後は、保育士の待遇改善に対して県としてできるあらゆる手段を講じていくことも併せて求めます。
次に、「介護職員の待遇改善」についてです。
本年は「介護フェアinかながわ」において介護職の人材確保の取り組みを進める契機とされるようですが、併せて現在介護現場が抱える様々な諸課題に対して県として毅然と対峙していくメッセージを発信し、具体の地に足の着いた政策を進める契機にもして頂きたいと強く求めます。
最後に、この一年間、私は介護・保育も含めた福祉分野を中心に取り上げてきました。仕事柄福祉関係の方々とお会いする機会が非常に多いのですが、「神奈川県は福祉先進県だった」というご意見をよく頂きます。「未病」「マグカル」等知事が熱心に進める施策について予算配分を大きくすることにも一定の理解をしますが、改めて「福祉」を「共生社会の実現」という視点から捉えなおして、「福祉先進県」と再び呼ばれるような先進的かつ基本的な取り組みも併せて今まで以上に力をいれていくべきであるというご意見を付した上で、討論を終了いたします。